しんりの手 :psych NOTe -3ページ目

テレビを買いました。

学期も終わり、今年度も無事に済んだというか実りのある年度だったんで、自分へのお祝いとしてテレビを買いました。友達の中古品で20ドルだけどね。これからはテレビ番組で取り扱われる心理学についても書いていきますよ。


ところでアメリカ人て平均で一日3時間くらいテレビを見てるんだよね。これがやつらの肥満の一番の原因かなぁ。

バッファロー理論と脳細胞と縦断研究


ある程度のアルコールの摂取は長生きにつながるというのは、いくつもの研究が示している。その理由を面白く説明しているのを見つけたので紹介するよ。


テレビ番組「チアーズ」でクリフが説明する。

「バッファローの群れの中で最初に狩られてしまうのは一番遅くて弱いバッファローなんだ。しかしこの自然淘汰は群れにとっては実は良いんだよ。遅くて弱いバッファローが自然淘汰されることで、群れ全体の移動速度が上がるんだから。

同じことが人間の脳にも言える。アルコールの摂取は脳細胞を殺すが、適度な摂取は遅くて弱い脳細胞を殺すんだ。この間引きによって飲酒人の脳は速く、効率が良くなるんだよ。」


あんまり科学っぽくない説明だ、とか思うでしょ。でもこういう現象は心理学ではよく起こるんだよね。


縦断研究(longitudinal study)というのがある。これは、同じ年(例えば1920年)に生まれた人を1000人くらい集めて、彼らを何十年にもわたって追跡調査する方法。そうすると彼らが年を追ってどういう変化をしていくかがわかる。


縦断研究の問題点は脱落率(drop-out rate)が高いこと。さらにこれは別の問題も誘発する。脱落せずに研究に参加し続けてくれる協力者というのは平均的な人ではなく、より健康で、より教育された人たちになりやすい(Helen L. BeeThe Journey of Adulthood )。つまり弱いものが先に死んでいくんだ。

バッファローも老人も、それにもしかしたら脳細胞も、すべて弱者から死んでいくというわけだな。そういう訳で僕は普段は教育を受けて脳を鍛え、週末はビールを飲んで脳を鍛えて弱者にならないように心掛けているよ!



*注意: 飲酒は自身の責任で行ってください。

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引用元:

Helen L. Bee, Barbara R. Bjorklund
The Journey of Adulthood
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バッファロー理論:

Cliff's Buffalo Theory This is credited to an episode of Cheers in which Cliff explains to Norm the 'Buffalo Theory': "Well you see, Norm, it's like this... A herd of buffalo can only move as fast as the slowest buffalo and when the herd is hunted, it is the slowest and weakest ones at the back that are killed first. This natural selection is good for the herd as a whole, because the general speed and health of the whole group keeps improving by the regular killing of the weakest members. In much the same way, the human brain can only operate as fast as the slowest brain cells. Now, as we know, excessive drinking of alcohol kills brain cells. But naturally, it attacks the slowest and weakest brain cells first. In this way, regular consumption of beer eliminates the weaker brain cells, making the brain a faster and more efficient machine. And that, Norm, is why you always feel smarter after a few beers."


外国語の発音は11歳までに。


english accent

先週、三次間数の回帰分析をたまたま紹介したんで、今日は実例を挙げてみたいと思いますよ。この表は韓国人が英語を習い始めた年齢と発音の綺麗さをあらわした表。X軸はアメリカに来た時の年齢。Y軸は発音の綺麗さを1(訛りまくり)から9(ネイティブ並み)で評価したもの。


アメリカに来たときの年齢が高いほど英語の発音を習得できないことがわかる。ちなみに白抜きの丸が示すのは、ネイティブのアメリカ人の発音を評価したもので、発音の点数が7.6以上だとネイティブの発音という結果だな。


この発音の域(ネイティブ並み)に達するのは10歳以前に渡米した中でもほんの一部の者に限られている。平均点(曲線で示されている)で見ると、3歳で渡米した8人の平均でも発音の評価は7.3点。最悪の発音を持つネイティブのアメリカ人(7.6点)にも及ばない。14歳以上だと発音点数の中間点(5点)を超えるものは稀な存在だ。


三次関数がここで役立つ理由は、発音習得の臨界期の一点のポイントを見つけることができるからだ。下向き凹曲線から上向き凹曲線に変わる点(11歳時かな)が発音を習う臨界期とも言える。(まぁ、厳密に言えば3歳の時点で既に臨界期を過ぎているという意見も導けるけれどね。)こういった曲線の向きが変わる点を探し出すとかは直線回帰分析ではできない。もっと重要な点としては、相関関係は常に直線で表せるわけではない。二次関数や三次関数が世の中の事象をより表すというのは良くあることだ。


詳しい説明などはこの本に載っている。



Roger E. Kirk (ロジャー・カーク、1994年)
Experimental Design: Procedures for the Behavioral Sciences (Psychology)


上の発音のデータはこの下の本から。

Margaret W. Matlin
Cognition

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検索キーワード:心理学、言語心理学、言語学、リングイスティック、linguistic, 臨界期、クリティカル・ピリオド、critical period, 発音、アクセント、認知心理学、第二言語、




学会に行ってきました。

心理学の学会に出席してきました。今回の学会は実りが多かったなぁ。


まず僕の発表は普通に成功。今回の僕の研究結果は統計の数値がはっきりと出ていた(相関関数のrが0.7くらいだった)んで、結果を説明するまではすんなり。その後に出席者からいろいろと質問があって、一人、アクセントが非常に強くほとんど聞き取れず、ちょっと焦り。あてずっぽで「あなたの言っている意味はこういうことですか?」と言ってみたら大外れだったらしく、別のアメリカ人のかわいい女の子が綺麗な標準語で質問を言い換えてくれた。ありがとー。こじんまりとした学会というのも打ち解けやすくて良いねぇ。


質問をしてくれた人の中にはK博士もいて、ちょっと緊張したよ。結構有名な博士で、教科書を買う金の無い僕でもこの博士の本は一冊持ってます。あと図書館から他に2冊借りたこともあります。そんなK博士がわたくしめにごしつもーん。なんか答えたのは覚えているんだけれど、すげえ焦ったんで質問は忘れました。


いやー、学会はこういったネットワーク作りができて良いねー。他にもいろいろと刺激の多い学会で、面白い研究も幾つか目にしたんで、機会があったらブログ上で紹介していきます。

学会に行ってきます。

cubic

今週は学会に出席するので更新ができません。今週どころか、ここ一ヶ月くらい更新する時間が取れてないんで、いまさら何を、という感が強い気もするけど。


忙しすぎて、学会で発表する研究もまだろくに解析していない。回帰分析を直線(リニア・リグレッション)ではなく三次関数(キュービック・アナリシス、上の図みたいなの)で分析することになりそう。三次関数のモデルは上級統計の授業で習ったのは覚えているけれど、実際に自分の研究で使うのは初めて。大筋の分析はできるんだけど、細かい点がうまくいかないんで、困っている。


今週の学会が終わったらブログを書く時間が取れますように。


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検索キーワード:心理学、SPSS,、linear regression, trend analysis, cubic component, Excel, multiple regression,

知能指数を神経生物学から見る

Rooy74

この上の図は現在の心理学の研究されている分野をうまく表しているなぁ。
これはアイゼンク(Eysenck, 1988)のモデルなんだけど、3つの円のうち、真ん中がIQ(知能指数)だ。アイゼンクの案では別名「心理的な能力が表す知能指数」(psychometric intelligence)。一般にはIQ、知能指数と呼ばれる。これは主に5つの要素から予測される。それは1.文化要素、2.家庭の躾、3.社会経済状態、4.教育、5.左の円。
左の円は「生物学的な知能指数」(biological intelligence)。これはEEG(脳電図)やRT(反応時間)などにより間接的に測定される。この生物学的な知能指数に影響するものが3つあり、生理学的な特質、遺伝、生物化学的な特質だ。
右の円は社会的な知能指数「social intelligence」。12の要素+(心理的な)知能指数から予想される。

心理学の多くの研究は上のどれかに当てはまる。例えば認知神経科学は左の円のあたりを研究する。臨床心理学は右の円の辺りの研究。なんで、心理学の研究のつながりを見るのに面白い図だと思う。しかし、こうしてみると心理学って抽象的な測定が多いんだな。例えば知能指数なんてのは「空想上の機能」(putative function)と呼ばれていて、人間が便宜上に作った秤に過ぎない。この図の中ではっきりと測れる物は左の円とその他では栄養素(nutrition)、飲酒嗜好(drinking habit)くらいなもんだな。


論文に戻ります。これによるとEEG(脳電図)の周波数と知能は8歳児では相関関数が0.5となかなか大きかった、しかし12歳児では関連性が無かった、などの過去の研究の紹介がある。で、結論はアルファ周波数は認知能力と相関する、などを挙げている。アルファ周波数がコンピューターのクロック数みたいだとして、それが脳の処理速度を測れるとしたらそれは面白い。でもそれは処理速度(の更にその一部)を測れるに過ぎず、知能指数の別の要素、つまり論理的思考や経験などを測れるわけではない。その辺も含めて将来もっと研究されるのを期待している。

引用元の本:
Con Stough (2005年)
Neurobiology Of Exceptionality (Plenum Series on Human Exceptionality)

Cindy Van Rooy, John Song, and Con Stough, Neurobiology of Intelligence, pp.73-

検索キーワード、 心理学、 認知神経科学、 認知心理学、 社会心理学、 教育心理学、 

別れる原因。男の視点、女の視点。

カップルが別れる原因というのが研究されている。これによると別れる原因の第一位は男女とも同じ原因で、「関係が退屈になった」!あきちゃったんだね。かわいそうに。


逆に考えると、これらの別れる原因が生じないような相手とは別れにくいんだよね、やっぱり?同じ興味を持っていて、似た背景を持っていて、似た知力があり(これはパーセンテージが低いけど)、うんぬん。


そうなると僕にお似合いの相手は、同じ心理学の院生をしている女の子、ということになるんですが、院生活が終わると僕らは散り散りの場所で働くことになるケースが99%。あっ、これは下の表の7,8,11ですな。他の場所で相手を探した方が良さそうだな。と、狡猾に考えてみる。

  ワカれる原因ゲンイン オンナ報告ホウコク(%) オトコ報告ホウコク(%)
1 関係カンケイ退屈タイクツになった 77 77
2 興味キョウミチガ 73 61
3 背景ハイケイチガ 44 47
4 知力チリョクチガ 20 10
5 性生活セイセイカツ問題モンダイ 48 43
6 結婚観ケッコンカン問題モンダイ 43 29
7 オンナ自立ジリツ願望ガンボウ 74 50
8 オトコ自立ジリツ願望ガンボウ 47 61
9 オンナダイシャ興味キョウミ 40 31
10 オトコダイシャ興味キョウミ 18 29
11 遠距離エンキョリ 28 41
12 オンナオヤから圧力アツリョク 18 13
13 オトコオヤから圧力アツリョク 10 9


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引用元:

Weiten & Lloyd (2000). Psychoogy Applied to Modern Life. 6th ed. p.235.

Wayne Weiten, Margaret A. Lloyd
Psychology Applied to Modern Life: Adjustment in the 90s


検索キーワード:心理学、認知心理学、性格心理学、社会心理学、元の研究: Hill, Rubin, and Peplau 1976, 結婚、恋人、カップル、パートナー、彼氏、彼女、離婚、離婚原因、

神経生物学で使う脳を測る機械

Puce 24



心理学の文献を読んでいると脳波などを測るいろんな手法が出てきてこんがらがるでしょ?この表はかなり便利。2つの軸がとてもすばらしい。Y軸が測れる小ささ(精密さ)を指し、X軸が測れる時間を指す。


Y軸はミリメーターをログで示しているので、0が1mm単位までの細かさではかれることを示し、2になると100mmになるんで、10cm単位という大雑把な測定になる。逆にマイナス2だと1mmの百分の一なんで、0.01mmだな。神経単位で測れるということです。

X軸は時間。秒をログで示す。


上図の中から例を説明してみます。最近最もよく目にするfMRI(機能的磁気共鳴画像法 )。Y軸で1なので1cm単位というけっこう雑な測り方なんだな。これは脳の部位を測るのに使えるだろう。X軸が0から2なので1秒から100秒単位での測りになる。一般にfMRIは最速で0.5秒に1枚の映像までの細かい測定ができると言われている。

PETスキャンは更に時間がかかる。脳の損傷部位(lesion)での測定では更に雑になる。


細かい方で見ると、細胞電極法(single unit electophysiology)が最も精密(100分の1ミリメートル)に測れ、細かい時間の変化(1ミリ秒単位)もわかる。ただしこれは脳を開けて電極を突っ込むので、人間にやることはほとんど無いらしい。たまに開頭手術をする前に脳に電極を突っ込んで、患者の脳の働き具合を確認するというのがあるけど、あれは細胞単位というほど細かい確認ではなさそうだな。


参照もとの本では、上記の一つ一つを1ページずつくらいに簡略に解説してあるので、分かりやすい。


僕の近況なんですが、論文やクラスのペーパーなどの執筆であんまり眠ってないです。心理学のペーパーを書くこと自体は楽しいんだけど、ブログやプライベートの時間が取れなくなって、生活が研究一色になってくるとまずいな、と思うよ。


参照元:
Con Stough

Neurobiology Of Exceptionality (Plenum Series on Human Exceptionality)



検索キーワード、 心理学、認知心理学、神経認知科学、神経科学、機能的磁気共鳴映像法 ,

Aina Puce, Neurobiological techniques, pp.3-28. 2005.

女の方が言語能力が上って言っても大差は無いんだな

hines159

男女の能力の差を比べた心理学の実験結果は山ほどあるけれど、それを数字抜きでどっちの方が上って言う事実だけで覚えている場合が多い。例えば、空間認知は男が上で、言語の力が女が上、とかね。じゃあ、いったいどのくらい男の方が上なのよ?という表。


X軸は9つの比べた項目。左から順に、1、身長。2、心的回転。3、空間認知。4、空間視覚化。5、認識速度。6、話し言葉の流暢さ。7、語彙。8、物を狙って投げる正確さ。9、子供の遊び方。

Y軸は標準偏差(SD, Standard Deviation)。


身長で見ると、男の方が標準偏差で2も上だ。標準偏差で2.0の違いというのは、男性の平均値(日本だったら170cmくらいか?)に達する女性は2%しかいないということ。ちなみに標準偏差が0なら男性の平均値に達する女性の割合は50%になる、という計算です。

心的回転で見ると標準偏差で1の違い。これは男性の平均値に達する女性は16%。これもかなりの差だな。

ターゲット狙いの課題では1.5の差なので男性の平均点に達する女性は7%のみとなる。これはあくまでも男性平均との比較なので、もし女性が野球の投手になろうとして、男性のトップレベルの投手と張り合うんなら、それがいかに困難なことかが分かるな。


では女性が優れていると言われる言語能力は?標準偏差でマイナス0.4くらい。これは男性の平均値に達する女性が66%いる。つまり男性(の平均)よりも言語能力の高い女性は10人中6~7人に留まる。これはそれほど大きな差ではない。


言語能力の差が小さいんでびっくりしたよ。実生活だと女性に言いくるめられまくってるんで、圧倒的に女性のほうがことば関係に強いんだと思ってたけど。この辺が「統計的効果量」が重要だと言われる理由だな。過去の心理学の統計では「女性のほうが上」という「統計的に有意な差」が見つかればそれでおしまいだったけれど、それがどのくらいの大きさの差なのかは「効果量」や「標準偏差」で測られる。



参照元:P.159.

Melissa Hines
Brain Gender

検索キーワード: 心理学、 メタ解析、meta-analysis, 身長、男女差、脳差、エフェクト・サイズ、EFFECT SIZE, 統計、確立、正規分布、NORMAL DISTRIBUTION, ピッチャー、女性、男性、



短期記憶は心理学の舞台から消えていく。【2005年読んだ本10位】

noSTM


【2005年読んだ本10位】「心をなす物質」(ヘイルマンKeneeth Heilman, M.D.著)(アマゾン:Matter of Mind: A Neurologist's View of Brain-Behavior Relationships


この本で著者は、生体的に脳の部位から見た心の活動の仕組みをまとめている。うーん、うまく説明できてないな。つまり、心理学では大抵が理論的なモデルが先行して、脳の活動の生物学的な説明は後付けだ。でもこの本では生物学的な説明が成り立つ理論に重きを置いている。結果、生物学的な説明の薄い心理学の理論は拒否されている。


例えば、記憶の理論についてこの本では、短期記憶という概念を除外している。これには僕も賛成。

この本によると、記憶の基本システムは4つだけだ:作動記憶(working memory)、宣言的記憶(declarative memory)、意味記憶(semantic memory)、手続き的記憶(procedural memory)、の4つ。ただし、このほかにも2次的な記憶システムはある。以下の説明はこの本を中心に少し僕の理解を付け足したもの。


作動記憶は情報の一時的な保管をする記憶。前頭野(frontal lobe)の左は言語記憶(verbal working memory)に重要。前頭野の右は空間記憶(spatial working memory)に重要。従来言われた短期記憶は、この作動記憶の一部とも理解できるな。


宣言的記憶に記憶されるのは「何、どこ、いつ」などの情報だ。宣言機器記憶は言語で記憶されてもよいし、言語以外の視覚情報などで記憶されてもよいし、古い情報でもいいし、新しい情報でも良い。パペツ回路(Papez circuit, hippocampus-fornix-mammillary bodies-thalamus-cingulate gyrus-retrospenial cortex-hippocampus)がこの記憶に大事な部分だ。


意味記憶は「知識」(knowledge)とも呼ばれる。これは側頭部(temporal regions)や頭頂部(parietal regions)に記憶される。意味記憶は宣言的記憶(特に従来の言葉で言うとエピソード記憶)の積み重ねにより形成される、物事の共通性などの知識だ。例えばA君は先週もクラスで一人だけあの問題を解けた。今週もだ。というエピソードの共通性から生まれる知識「A君は頭がいい」というのが意味記憶だ。スキーマ、概念などはこの意味記憶の中にくくられる。

意味記憶と言語的な宣言的記憶は左脳(脳の左半球)に記憶され、空間的な記憶は右脳に記憶される。


手続き記憶は「どうやってするか」(how)の記憶だ。この記憶と脳の関連はまだあまり分かっていないが、基底核(basal ganglia)と大脳皮質(cortex)が重要なようだ。




というのがこの本のある章の内容なんだけれど、とても面白い。まず心理学で長年使われてきたモデルを否定しちゃっているのがびっくり。つまり


【古くて誤り】 感覚→短期記憶→長期記憶


【新しいモデル】 感覚→長期記憶

  又は      感覚→作動記憶→長期記憶

こんなかんじだろうか。これは最近の認知心理学ではよく言われている。で、この本の言葉で言うと、宣言的記憶、意味記憶、手続き的記憶、の3つが従来の長期記憶に該当するんだろうな。短期記憶はお払い箱という案は最新の文献の裏付けがいくらでもあるのでそのうちに紹介します。


でも僕もよく混乱するのは、短期記憶を記憶モデルから外している研究者でも、別の意味で「短期記憶」(short term memory, or primary memory)という言葉を別の機能を指す言葉で使ってたりするんだよな。作動記憶の一部の機能とかに。なんで、文献を理解するときも訳すときも2つの言葉(短期記憶と作動記憶)がごっちゃになることはしょっちゅうです。気をつけとこう。


あとこの本は記憶だけでなく他の脳の機能(言語、感情、注意、自己認識、認知ー動作、など)も、生物学的な視点から解説している。心理学の(過去の)教科書では見られないモデルばかりなんで心理学を知る者にとってはとても面白い。多分、この本に書いてあるモデルのほうがより正しいのだろうと思う。心理学をこれから学ぶ人にもお勧め。


引用元の本 

Kenneth Heilman
Matter of Mind: A Neurologist's View of Brain-Behavior Relationships

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