しんりの手 :psych NOTe -22ページ目

毎授業で試験すると期末成績上昇

ある大学のクラスで、毎クラスごと(日本語?)に試験を行ったところ期末試験の成績が上がった。この前の期は、試験は10クラス日に1回だけだったがそれを1クラス日に1回の試験というやり方に変えてみた。すると、「学習と記憶」のクラスではクラス平均が81%から89%に上昇。心理学クラスでは74%から80%に上がった。

研究としては穴だらけ。クラスの期も違うし、教官も期待しながら教えていたかもしれない(いや、きっとしていたはずだ)。でもこれは信じられるな。誰かちゃんとした環境で実験しないかな。

引用元
Leeming, F. C. (2002). The Exam-A-Day procedure improves performance in psychology classes. Teaching of psychology. Vol.29(3). 210-212.

教育心理学は認知心理学とは視点が違う
http://edhs.ri.aoyama.ac.jp/~susan/archives/2004/10/post_20.html#trackbacks
教育心理学は認知心理学とは視点が違うという話。僕のこの記事の引用元である学会雑誌(teaching os psychology)を読むと、これを認知心理学風に実験すればもっと面白くなるかも、と思うことは多かったです。

大学生が見る最良のクラスとは

大学生に最良のクラスとはどんなものかを問う質問を行った。その結果、大学生に支持されるクラスとはこんなものだった。
居心地が良い。
科目が面白い。
教官にユーモアが有り、面白い。
教官が情熱的に語る。
生徒が良い成績をもらえる。

生徒は教官の人間性を重視していて、授業形態などは二の次にされてるのは意外。だけど質問の集め方にも問題がある。生徒に細かい項目を聞いても、それが直接的に最良のクラスを作る要素ではない時もある。例えば民主主義で有権者に聞けば、税金が安いほうが良い、と言う答えが多くなるだろうけれど、税金を安くすることが最良の国家を作るわけではないだろう。同じように生徒に聞けば、生徒が過ごしやすいクラス環境を選ぶのは当然で、回答全体として最良のクラス環境を指し示してるとは思えにくい。でもこの研究は生徒がどんな質問に同回答するのかを見れて参考になる。

goblue1さん(http://goblue1.exblog.jp/m2004-12-01/#1253814)
も言ってるように、アメリカ人はスピーチする人の態度を重視する、と言うのと似た結果が出た。

引用元
Levy, G. D. & Peters, W. W. (2002). Undergraduates' views of best college courses. Teaching of Psychology. V.29 (1). 46-48.
http://www.ithaca.edu/beins/top/top.htm

教育学への道 プロローグ (dennou3さん)
http://dennou3.exblog.jp/m2004-10-01/#767882
大学の教育を自分で経験しながら考えているdennou3さん

知能が高いと自殺率が低い

スウェーデンでの研究によると、IQ(知能指数)が高い方が自殺をする可能性が低かったと言う統計結果が出た。

除隊した軍人(百万人!)を数十年に渡って調査したところ、IQと自殺率に強い相関関係があった。入隊時にIQを4つの観点(論理、言語、空間、数学)から試験し、それぞれが自殺のしにくさと強く結びついた。例えば論理知能の点数(1最低~9最高)までがほぼ綺麗に自殺率と直線関係がみられた。論理知能最低(1)の自殺率0.005%から論理知能最高(9)の自殺率0.001%までが概ね直線で結ばれた。この研究者は理由として精神病の可能性を挙げている。つまり、低知能指数はうつ病や精神分裂病との相関関係が高く、これらの精神病は自殺との相関関係が高い。従って、低知能指数と自殺率の相関関係が高いのも納得できる。ちなみに今回の研究対象は男性のみだった。

100万人中2800人が自殺なんて、馬鹿でかい数の統計だな。内容が一般的なのに、研究がしっかりしてるんで意外。知能に相関関係があるのは確からしいな。ただ、知能は一要因に過ぎず、自殺率を数倍挙げるだけ、と言うのを時にマスコミなどは伝えるのを怠るのを見る。変な日本語になったけど。自殺には遺伝も関係していると言われている。例えばヘミングウェー(上の写真)の一家とかね。いろんな要因が研究されて、自分にどんな危険が高いとか解ると、事前処置とかもできるかも。

Low intelligence test scores in 18 year old men and risk of suicide: cohort study
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/330/7484/167?ehom#TBL3

IQが低い人ほど自殺する(旬のイギリスさん)
http://ukstyle.exblog.jp/1570138
既に日本でも紹介されてるんだな。イギリス発だけど。

多重知能の本の紹介(小枝さん)
http://blog.livedoor.jp/dogmania/tb.cgi/11021746

日本好きのアシュクロフト 2

アシュクロフトは他にも日本の紹介をしている。以下は訳。
「ペパーミント、またはその主要成分のメンソールが日本で大人気。メンソール成分は皮膚の反応をだまして、涼しいと感じさせる。日本人はその効用を信じているので、メンソールを小さな銀の箱に入れて腰からぶら下げている。」
さすが日本好きのアシュクロフトはよく日本のことが解ってるね!僕の知ってる日本とは違うけど、そんな日本も趣があると思うよ。

ところでメンソールとは逆の効果でカプサイシンには肌に熱いと感じさせる力がある(とアシュクロフトも書いている)。むかし北国を旅したときは、よく唐辛子なんかを靴の先に入れたもんだよ。貧乏旅で、あとは新聞紙なんかを服の下に入れて、というか24時間着て寒さを凌いだなぁ。こう回想すると、アシュクロフトさんとは友達になれる気がしてくるよ。

著者: フランセス アッシュクロフト, Frances Ashcroft, 矢羽野 薫
タイトル: 人間はどこまで耐えられるのか
著者: Neil W. Ashcroft, N.David Mermin
タイトル: Solid State Physics

人間の限界を(自ら)探る、アシュクロフト

「人間はどこまで耐えられるか」と言う本が小枝さん(http://blog.livedoor.jp/dogmania/tb.cgi/11644491
のところで紹介されていたので早速、図書館で借りてきた。このアシュクロフトって筆者は日本好きなんだな。そして文体がとても面白い。この人の温泉経験談(p.99)を訳してみたよ。

「一緒に研究をしている日本人が何年か前に温泉を紹介してくれたの。サクラジマと言う活火山を展望しつつ、その火山で暖まろういう寸法。て言うか暖められた砂に埋まって首だけが何百も並んでるんで、まるで暴れ狂ったサムライが斬首しまくっちゃったあとの景色みたいだったわ。(中略)熱いよ、と言う忠告も無視して湯に一歩踏み入れた瞬間、跳び上がったわ。私の足は確実に第一度の火傷をしたと思う。でも隣では女性が普通に湯に使っている。私にはなんで彼女らが調理されてしまわないのかが解らなかった。人食い人種が人を煮ている風景とか、魔女狩りの拷問の風景が頭をよぎったわ。」おいおい、これは科学者が書く文章じゃないだろう。こんな文を書く割には本全体はとても科学的。アシュクロフト、あんた面白いよ!

小枝さん、面白い本紹介してくれてありがとう。

著者: フランセス アッシュクロフト, Frances Ashcroft, 矢羽野 薫
タイトル: 人間はどこまで耐えられるのか
著者: Frances Ashcroft
タイトル: Life at the Extremes

言語能力が記憶を邪魔する

ある実験で、子供の方がはるかに記憶の成績がよかった。30枚の動物の写真を覚えるように指示され、子供は31%の正解率だったのに対し、大人は7%。その差は4倍だ。これは大人が写真を記憶する時に、写真を覚えるのではなく、写真を言葉に変換して覚えているからだと推測される。例えば猫の写真は猫として覚えて、どんな猫の写真だかは覚えない。それを証明するために第2の実験が続けて行われた。子供に記憶の誤ったやり方を教えてあげる:つまり、動物を分類して覚えるように教えた。すると予想通り、子供の記憶能力は大人並に落ちてしまった。うん、これは経験上から子供の方が記憶が良いのは知っていたけれど、そんな理由だったとは、驚いたよ。こういうのを見ると全ての子供に教育して良いのか疑問になるよ。言葉にしないで、物事を感性で処理していく人を育てたらどうなるんだろう。興味深いな。

CHILDREN CAN HAVE BETTER MEMORY THAN ADULTS
http://researchnews.osu.edu/archive/chldmem.htm

言語化することが絵を描く能力を邪魔する話(小枝さん)
http://blog.livedoor.jp/dogmania/tb.cgi/10367638
これは面白い。言語化することを訓練で止めることもできるんだ。小枝さんも広範の本を読んでるよな。トラックバックもありがとう。

右脳で描く話(小鳥 a little birdさん)
http://www.typepad.com/t/trackback/425685
こんなに変わるの?怖いくらいの変化。人ってそんなに急激に絵がうまくなるもんなの?関心を超えてもう不思議の域。

「脳の右側で描け」の展覧会(小鳥 a little birdさん)
http://coolsummer.typepad.com/kotori/2005/02/post_23.html

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聞いた単語の方がより思い出せる

記憶の容量は7個と言われている。魔法の数の7(上下2)が記憶できる事柄の数だ。(最近では4つと言う説も有力。)中国語など一単語が短いものなら9つくらい覚えられると言う。この研究者は見た単語と聞いた単語を比べた。見た単語は5個しか覚えられなかったのに対し、聞いた単語は7個覚えられた。聞いた単語は前後の繋がりも一緒に覚えられるからだろう、と推測している。音の方が記憶に残るってのは、よい着眼点だな。確かに聴覚記憶(3秒)のほうが視覚記憶(0.5秒)より長いんで聞いたほうが記憶力テストでは良いのかも。

Short-term memory span: insights from sign language (PDF)
(PDF) http://www.bcs.rochester.edu/people/newport/Boutla.NN04.pdf

記憶の仕組みに新理論。記憶は複製、消去されている。

記憶の仕組みをうまく説明する理論が発表された。記憶されている情報は永遠に保存されるのではなく、時折コピーされるか消えてしまうかの選択を迫られているのだという。現在、心理学の教科書に載っている記憶の仕組みはこうだ。いったん情報が長期記憶に入ると、その情報は永遠に保存される。忘れる、という現象は情報が消えたのではなく、情報を読み出せないだけだ。そして一人の人間の記憶容量は無限とされている。個人的な意見だけどこれはちょっと信じがたいよな。限られた物理的空間の中には、限られた量の情報しか保存できないはず。そんな僕の疑問を解決してくれるのがこの新理論。記憶は固定されるのではなく、動的で複写を繰り返している。つまりコンピュータのデフラグメント(散り散りになった情報をまとめなおす)みたいな作業が脳内で行われているという理論。これは素晴らしい!いろんなことが綺麗に説明できる。記憶の再構築かも、忘れる仕組みも、物事の関連付けも。名前を記憶にとめておこう。Aryeh Routtenberg。この記憶が留まるように。

New Theory Challenges Current View of How Brain Stores Long-Term Memory
http://www.northwestern.edu/univ-relations/media_relations/releases/2005/01/longterm.html

お薦め記事:記憶の過程を顕微鏡で見る

蛍光遺伝子を組み込んだハエの脳を顕微鏡で観察したところ、物事を関連付けている時に蛍光遺伝子が光る。パブロフの犬のように古典的条件付けを使い、ハエにある臭いがするとショックが与えられることを学習させた。するとその刺激のあとの3分間はこの蛍光遺伝子が光り、物事を積極的に関連付けしている様子が観察された。刺激のあと7分後には蛍光遺伝子の光が消えた。記憶の過程をじかに見れるなんてすごい技術だな。この技術でもっと記憶のメカニズムが解明されると良いな。

Study allows researchers to visualize formation of a memory
http://www.nih.gov/news/pr/may2004/ninds-12.htm

アルツハイマーの予兆に映像記憶力の検査

映像記憶力が弱ると8割の人がアルツハイマー病を発祥する。なので、この検査で老後のアルツハイマーを事前に予想できるんではないか。この検査は他の能力証明にも役立ちそうだな。例えば運転免許とか。

Poor Visual Memory May Signal Alzheimer's
http://www.healthfinder.gov/news/newsstory.asp?docID=523418