しんりの手 :psych NOTe -21ページ目

人は誕生月に死ぬ 1

人は誕生月に死ぬ。記事の題がちょっと煽り過ぎたかなとも思うけど、統計を見ると顕著だ。添付した画像を見る。X軸の0と言うのが誕生月だ。Y軸は死亡の数の%なので、通常に考えれば100%割る12月でひと月当り8.3%が相場だろう。しかし誕生月(0)だけ突出して9.7%くらいだな。男性(破線で示されている)に限って言えば10.7%くらいだ。逆に半分誕生日(6ヵ月後)では極端に落ち7.0%だ。

これは不思議な統計結果だな。統計の差としては確実だ。男性は10522人の誕生月と死亡月を比べている。統計として十分な数だ。でも直感的に受け入れづらい結果だよな。どんな理由が考えられるだろう?僕がパッと思い付いた理由は二つ。これは一週間くらい資料を探す時間をもらって、それから書こうと思う。理由を思い付いた人はコメントください。

この研究者はもう少し統計を進めている。心臓病で死んだ人(4779人)は誕生月に死ぬ傾向がより強い。未婚の人(5811人)は誕生月に死ぬ傾向が更に強い。一人で住んでいる人(2104人)は傾向が更に更に強い。前月8.4%、誕生月12.2%、翌月7.4%だ。2100人の死亡月がここまで偏るのは本当に驚きだ。

これらの結果を踏まえてこの研究者はこう推察している、誕生日はストレスの溜まるイベントだから死に至ってしまう、と。結婚しているとそのストレスから守られるのだろう、と。おい、そんなしょぼい推察で良いのか?もう少し科学的裏づけのありそうな理由付けをするのが研究者の仕事だろう。統計が魅力あるだけにこの案にはとってもがっかりだよ。素人が思い付きを言うんなら面白い案だけど、あんたは研究者なんだから。

ちなみに新生児がすぐ死亡で誕生月の死亡率が高い、と言うオチも研究としては楽しそうなんだけど、このデータは35歳から84歳の人ので、1966年から1968年の国の調査だ。

元の論文
Grigsby, J. S. (1985). Special occasions, stress, and mortality: Do people tend to die during their birth month? Social Biology. Spri-Sum 1985. Vol32(1-2) 102-114.

検索キーワード: 心理 心理学 社会心理 ストレス 自殺 誕生月 死亡月 生まれ 老化 老人 老い 星座 バイオリズム

誕生月、星座を統計から科学する 1

星座と言うと非科学的な印象が一般に持たれている。しかし誕生日は確実にその人の人生に影響を与えているようだ。

多発性硬化症は5月生まれが一番多く、11月生まれが少ない。
(UofOxford調べ)
脳腫瘍は1月2月生まれが多く、7月8月生まれに少ない。
(Neurology誌2004年より)
左利きは春生まれに多く、秋生まれは右利きが多い。
(Cortex誌1999年より)
他にも精神病の発症率など誕生月との関連の報告は多数ある。あと誕生月とテスタストロンの関係も報告されている。

これらを説明する理由がこれも科学的に研究されている。

まずは誕生日と雲の関係。例えば生まれが冬なら生まれた直後に太陽にあたる機会が少ない。曇天と鬱的な気分の強い関係は既にかなり研究されている。これは気分的な問題ではなく肉体的な問題で、セラトニンだかなんだか言う物質が太陽下でないと出ないだか(今は資料が手元に無いよ)。

次は社会的地位と子供を作る時期の関係。特定の社会的地位のカップルはある時期に子供をより多く作る(これも資料が今手元に無いよ)。

つまり誕生日は人生に影響するのは必然なのだろう。ただしこれらのデータが、星座などで言われる性格とどのくらい似ているのかは僕は知らないよ。悪しからず。ま、今回は概略の紹介と言うことで、それぞれの細かい研究については又の機会に書くつもり。誰か資料を持ってる人は連絡ください。

ネズミが聞き分けたのは言語ではなく話者の違い

一週間ほど前にこんなニュースが発表された。ネズミがオランダ語と日本語を聞き分けた、と。でもちょっと待った。実験結果は違う事実を示している。ネズミが聞き分けたのは言語の違いではなく、話者の違いだろう。

ここからは入り組んだ話。まずは学習過程。日本語軍のネズミは、日本語を聞いた後にレバーを押した時にだけ食べ物が与えられる。オランダ語を聞いた後にレバーを押しても食べ物は出ない。そして実験過程。興味深い実験条件3と4を見てみよう。

実験条件3において、学習段階では日本語話者AとBが日本語を読んだ。そして実験の時は日本語話者はCとD、オランダ語話者はEとF。ネズミは日本語もオランダ語も区別が無かった。

実験条件4において、学習段階で日本語話者Aが日本語を読んだ。そして実験の時にも日本語話者は引き続きAでオランダ語話者はE。ネズミはAの声の時により多く、レバーを押した。

日本語とオランダ語をえれ変えた実験でも同様に実験条件4で学習段階と同じ声にネズミは反応した。実験条件3では反応の違いは無かった。

これに基づきニュース媒体は、ネズミが聞き分けたのは言語だ、とした。その可能性も有るけど、話者の違いを聞き分けた可能性も強いだろう。いや話者の違いのほうが可能性が強いだろう。動物にとって、固体の違いを見分けたり聞き分けたりする能力は必要だし、実際にそういう能力を示している。だけど地域の差による言い方の違いを聞き分ける能力は必要ないし、知っている限りでは報告も無い。

研究者にとって、自分の研究をうまく世に伝えるのは難しいことだよな。適切にする課題がとても多い:研究自体、論文にする作業、専門知識をもった読者の解釈、そしてそれを専門知識の無い一般読者に伝える作業。物事を解りやすく伝えることが必要だと思ったよ。

ここで元の論文が読める(PDF) Effects of Backward Speech and Speaker Variability
in Language Discrimination by Rats
(PDF)http://www.apa.org/releases/speech_article.pdf

犬は言葉を理解する能力がある

あるコリー犬には単語を理解する能力があるようだ。「AとBを取ってきて」と命令すると20回(40品)試したところ37品を見事そのおもちゃを取ってくるのに成功した。

この実験は第一の部屋で命令し、犬は第二の部屋におもちゃを取りに行くので命令した人間の視線などで推測しているのではない。

これはすごい。将来、犬用の人間の言葉学校とかができて、おすわり、まて、などを教えられると人間にとってはとても便利だな。コリーは頭が良いからできるのかな。犬にとって解り易い音と解りにくい音とかも研究して欲しいな。

さて、この研究者は第二の実験をしたんだけど僕は好きじゃない。

この犬は更に言葉を推察能力の可能性を示した。犬に教えていないHと言う品目を使い、「Hを取ってきて」と命令するとこの犬は「AでもBでもないんだから残ったこの品目がHに違いない」と推察してHを取ってきたと言う(8品目中の他の7品は知っている単語。)これは10回の試験で7割の正答率。これは他の7品の単語を理解して覚えていないとできない芸当だ。

うん、まぁこれは難しい芸当だろうけど、10回連続してやったら頭の良い犬なら途中から命令者が喜ぶのは今まで見たことの無いおもちゃを取ってきた時、と解るだろう。これは言語能力とは違う才能を試験した可能性がある。もっと疑いのない研究方法をすれば良いのに。でもこの犬はすごいと思うよ。

犬の訓練の話(金子真弓さん)
http://www.mars.dti.ne.jp/~afc/signal.htm

犬の偏差値ランキング~犬の知能を特捜せよ~
http://vet.ameblo.jp/entry-f740ec55608fb37de8a09c019a23819f.html

Dog's verbal tricks probe origin of language
http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn5101

女性の魅力を決める部位は口と乳輪

女性を魅力的だと思う時に、顔や体のどの部分が影響するのかの研究が発表された(2002年)。これによると女性の魅力を最も左右する部位は口の高さと乳輪の小ささだと言う驚くべき結果が出た。

70人の女性の直立した裸の写真を男性に見せた。まず女性の魅力に点数を点け、そしてその女性のどの体の部位がどのくらいその魅力点数に影響があるのかを調べたところ、相関関係指数(Pearson correlations)が最も高かった部位は口の高さ(0.41)と乳輪の大きさ(-0.41)だった。つまり小さい乳輪が女性の魅力に繋がる。

はははは。この結果には笑ったよ。男はそんなとこばっか見てて良いのか?もっと他にも女性の身体的魅力を見る部分があるだろう?例えば痩せ過ぎてたら健康じゃない女だと思ってみるとか。目が大きかったら表情を読みやすくて付き合いやすいとか。

口の高さ(これは唇の厚みか?mouth heightって読むと口がどのくらいの高さに有るかに聞こえるけど熟読して確かめるほどの興味は無いよ)はなんとなく解るな。唇が厚いとセクシーだし、脂肪の乗った女の子っぽい良い感じがするもんな。

ちなみにその次に魅力を左右する部位は腰周りの太さ(-0.36)と胸の大きさ(0.35)だった。このデータを見ると、男って直球勝負だな。それと研究を難しくしないで、こうやって体の部位を単体だけで見るってのも楽しいもんだ。自分の生涯の研究がこれだったら凹むだろうけど。

この本は小枝さんの紹介(顔を読む―顔学への招待)
http://blog.livedoor.jp/dogmania/tb.cgi/11181589
を図書館に借りに行って、隣にあった同著者のこの本が目に入ったんで借りてきたよ。小枝さん、いつもネタになる楽しい本を紹介してくれてありがとう。

引用元
著者: Gillian Rhodes, Leslie A. Zebrowitz
タイトル: Facial Attractiveness: Evolutionary, Cognitive, and Social Perspectives (Advances in Visual Cognition, V. 1)

軽く飲む女は呆けにくい

Moderate Female Drinkers Less Likely To Have Alzheimer's
http://a2gay.org.uk/portal/article.php/20050122044711512

虐待を受けた女性は結婚しにくい

過去に虐待を受けた女性は安定した恋人を持ちにくい。

2500人のアメリカ女性を調査したところ52%が過去に肉体的な虐待か性的な虐待を受けていた。24%は性的な虐待を受けたことがあった。虐待を受けたことのある女性はたったの22%が結婚していて、虐待を受けたことの無い女性は42%が結婚していた。従って、虐待を受けたことが結婚までの恋人関係を持てていないという原因だと推察される。

52%が過去に虐待を受けてたなんて多過ぎるよ、アメリカ。ニュースとかで見る虐待の事件だと、常に白人が被害者の気がするんだけど、人種差は無いのかな?この研究では白人、黒人、メキシコ系を無作為に抽出したとかいてあるけど、結果の違いについては言及してないな。

Abused women less likely to be in stable relationships
http://live.psu.edu/story/9893

男は灰色、女は白色の脳細胞が多い

男は灰色脳細胞が6.5倍ある。灰色脳細胞は情報を処理し、論理的な推察をするのに用いられる。例えば数学など。
女は白色脳細胞が10倍ある。白色脳細胞は情報を集めて統合するので言語能力と結びついている。
知能指数全体の得点は男女で変わりは無いが、同じ得点を取るのに男女は違ったやり方をしている、と言う記事。

探偵小説とかで灰色の脳細胞とか言われててもそれが何なのかは知らなかったよ。全ての脳は灰色なのかな?なんて思ってた。そして脳の写真を見る度に、こりゃ黄色に近いんじゃない?英語だとこの色は灰色に括られるのかな?なんて思ってたな。

男女差って昔考えられていたよりもずっと大きく評価され始めてるよ。心理学の実験する時とか被験者を女だけにする、とかはほとんど当たり前になってきている。特に実験が言葉や数字に関わるものなら尚更。群の中が似た傾向になれば、2群間の違いが際立つからね。でもここまで男女の違いが大きいとは思ってもみなかったな。

Intelligence in men and women is a gray and white matter
http://www.today.uci.edu/news/release_detail.asp?key=1261

米国的な肥大化を避けたい先進各国

アメリカの子供は肥えている。3割超が肥満で半数以上がオーバーウェイトだ。EUとオーストラリアはアメリカのように肥満だらけの国家にはなりたくない。そこでまだ肥満児の少ない今の内に何とかしようと躍起だ。

EUHCAC(ヨーロッパ共同体の健康と消費問題委員会、日本語訳は知らない)はEUでのジャンク・フード(ハンバーガーなど)の広告を規制する方針だ。
http://i-newswire.com/pr3606.html

オーストラリアではAMA(オーストラリア医療アソシエーション)がやはり食品の広告に力を加える案がある。ヨーロッパと違うのは広告の量を減らすのでは無く、広告の何割かに健康を促すメッセージを入れると言うもの。なぜならオーバーウェイトはいろんな病を引き起こす可能性があるからだ:すなわち糖尿病、高コレステロール、高血圧など。
http://www.ama.com.au/web.nsf/doc/WEEN-68T7HC

肥満に個人て取り組むのは難しいんで、こうやって社会全体で肥満を減らそうと言うのは良いと思う。今すぐ始めて欲しい。あ、ちなみにアメリカの肥満はテレビのCMが原因と言うのが通説で、これが前提として、他の国では広告を減らそうとしているはず。

理解度を地図として表す

授業で学んだことを地図のように書かせてみた。これは生徒の理解度を示すのに使える、という記事。

うん、確かにこれは理解してないと書けないだろう。更にこの地図を書くことによって学んだ内容が系統立てられて、書き上げた時に理解度があがるだろう。実験して欲しい。ひとつのクラスでは授業の終わりごろに学んだことを地図に書かせる。もうひとつのクラスは教官が言葉でおさらいをする。そして期末試験でその2クラスを比べる。

引用元
Jacobs-Lawson, J. M. (2002). Concept maps as an assessment tool in psychology courses. Teaching of psychology. Vol.29(1). 25-29.