しんりの手 :psych NOTe -20ページ目

テレビCMの効果。&今後の予定

今日は今後の掲載予定の案を紹介しようと思う。ほとんどの案は全く下調べもしてないんで何か情報がある方はぜひ助けて。そんな人頼みの企画なんで、いきなり記事を紹介せずにこうして情報を読者から集めているのだよ。はははは。

まずは、テレビのCMについて。今週の日曜日はスーパー・ボウル。このテレビCMは毎年とても注目度が高い。僕の同僚はビジネスの授業に心理学を絡めて教えていて、毎年スーパーボウルのCMは録画して授業で分析するそうだ。そんな彼女から照会されたページがここ。今年のスーパー・ボウルのCMが見れる。
http://budweiser.com/
生年月日を入れて、Enter→Commercial→Click here to watch itで見られるよ。心理学として興味深いのは、消費者には何が記憶に残るか、そしてどんな要素が購買意欲を掻き立てるか。そんなことを来週にでも書こうと思っている。

次は色に関すること。

まず、添削のペンの色について。今日、テストの添削をしていたら、ある生徒が「赤はネガティブな色だから使うのをやめて」と言ってきた。しかも代わりに使う青のペンをプレゼントされたよ。でも添削の色と言ったら赤だろう?と思ったが、誰も同意してこなかった。て言うか赤は嫌だと言う生徒が続々と沸いてきた。ふーん、アメリカ人の色に対する反応は興味があるな。来週あたりに更新予定。

次。髪の色は魅力にどう関係するのか。どんな性格が何を求めて髪の色を選ぶのか。これは小枝さんのところ
http://blog.livedoor.jp/dogmania/archives/13399325.html
で話が出て、個人的に興味があるんで近いうちに調べると思う。研究がたくさんされてるのは知ってるけど、ある研究ではろくな差が出なかったのを覚えてる。面白い結果に出会えるのを期待しているよ。

次。今日はVR(バーチャル・リアリティー)の実験台になってきた。当然、普段の人間の動きと違ってくる。制限される動きもあるし、VRだからできる動きもある。その適応してく様を見ることにより特定の能力を測れるんじゃないかと何気なく思ったよ。知能とか工夫性とか。これを調べるのは遠い先になりそうだな。

今週は忙しくって、一日3時間くらいしか寝てないよ。金曜に自分の研究を発表する(と言っても今回は学内での発表なんで気が楽だけど)その準備とかで大変。でも自分のやりたい事してる時って、結構眠気に勝てるもんだよな。あ、眠気に関しても調べる予定だった。

人は建物に入ると右に曲がる

近日更新予定。

月初めに多い医療ミス。薬剤師のエラーか

月の第一週には薬に関する致死性級のエラーが25%も多い。それは薬剤師が忙しいせいだろう、という記事。この研究方法が面白い。

1979年から2000年にかけての13万件の薬にまつわる致死性級エラーを調べた。すると月の第一週の死者数が圧倒的に多かった(写真)。http://ucsdnews.ucsd.edu/newsrel/soc/PhillipsMedErrors.asp

薬剤師側のエラーか患者側のエラーかを調べるため、次のようなデータを調べた。金持ちはいつでも薬が買えるので、薬を買う時期は月間通して一定だ。それに対して老人や貧乏人は国の援助が出る月初めに薬を多く買う。なので患者のエラーならその違いが致死性級薬エラーに反映されるはずだ。しかし、月初めに突出する致死性級薬エラーの傾向は全ての群に見られた。月間に一定して薬を買う金持ちにも月初めの薬による死が多いということは、薬剤師のエラーによるという証拠だ、としている。

ふーん、こういう研究方法があるんだな。研究に必要な知識って、その専門分野はもちろん、周辺の知識が必要だと思わされるよ。つまりこの研究では、死者数の統計の他に、国の医療制度や社会的違いによる薬を買う時期などの知識が必要だ。この人は社会学が専門らしいから驚きはしないけど。

周辺の知識を集めるという点では、このブログは自分のために役立ってると思う。自分で知識を集めているし、読者の方からの貴重なコメントが新しい見方に気づかせてくれる。みんな、ありがとう!

エラーに関する半自動性(オートマティシティー)の判断や慣れに付いて書こうかと思ったけど、纏め上げるほどの時間が今は無い。こうご期待。

若い女の汗の臭いが更生年期女を魅力的に

先週のNew Scientist誌によると、若い女の汗の臭いフェロモンを入れた香水を使った更生年期の女性はパートナー(夫または恋人)との性的活動が増したと言う。

フェロモン入りの香水を使った22人の更生年期の女性は41%がパートナーからの愛情を以前より受けたと感じた。偽薬(フェロモン無し)の香水を使った22人の更生年期女はたったの14%が愛情を以前より受けたと感じた。よって若い女の汗の臭いで更生年期の女に性的魅力が増すと結論付けている。

これはしっかりした研究だな。ただ日本でのこのニュースの受け止め方が気になる。この研究の要点は(更生年期前に比べて女性ホルモンが質的に変わってしまい性的な魅力が落ちてしまった)更生年期の女に性的魅力を取り戻すことができるのか、だ。

若い女がこのフェロモンを更に付けたら効くのかは研究されていない。僕の見解を言えば、若い女は自分でこれを発してるんだから、更に上塗りしても効果は無いだろう。

最近の記事で、研究の誤解のされ方に付いてばっかり書いてる気がするよ。これは訳者の問題もあるだろうけれど、研究者は要点を明言して自分の研究が誤解されないような論文の書き方をするようにもっと心掛けても良いだろう。もっとも、僕も片手間で適当に訳してる時も有るんで、あまり人の事ばかり言ってられないが。

さて、僕はこの研究が好きだ。こういった細かい小道具で夫婦生活がより円満になるんならぜひ利用できると良いと思うよ。

第三の視覚器官が発見される

人の視覚受容器官は従来2種類だけだと考えられていた:ロッドは明るさに敏感で、コーンは色に敏感な視覚受容器官。しかし先週第三の視覚器官が発表された。今週更新予定。

ピアノの練習で言語記憶力が上がる

ピアノを習うと言語記憶の能力が上がる。6年以下のピアノの練習でも結果は顕著に表れた、という記事。

ピアノをやってる子は頭が良いのは経験上から多くの人が感じている事だと思う。でもそれが特定の分野(言語記憶の能力)に現れるというのは考えたことも無かったな。単純に、2つの理由を考えてたよ。ピアノを習わせる親は頭が良くって金持ちなんでそれが遺伝する。ピアノを弾く時に指を動かすので脳が刺激される。

この研究者によると音楽の練習は左脳を刺激するので、左脳にある他の機能も刺激される:つまり言語機能が刺激される。

僕は個人的には、頭の良い女の子ってかっこいいなと思うけど、ピアノ習ってた僕の友達を見ると親に束縛されている印象があるんだよな。その殻を打ち破れたら、又は他の方法で束縛とは別の方向に自分の価値を見出したら、その時からその子達は更に魅力的になると思うよ。この論文とは関係ないけど。

Music instruction aids verbal memory
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2003-07/apa-mia072103.php

思い出した直後は忘れやすい

一週間ほど前に記憶は再構築されていると言う理論を紹介した。http://psychnote.ameblo.jp/entry-4dd495c4cb8e94e193a4e58a625077e5.html

それを支持する別の研究者(Prof. Yadin Dudai)が、もう少し細かいところまで突っ込んでいる。従来信じられてきた記憶の仕組みでは長期記憶は失われることは無い。つまり忘れたい記憶は長期記憶に入る前に消さなければ、一生付き纏われてしまう、と言う考え方だった。しかしこの研究者の理論では、忘れる機会は何回でも訪れる:それは思い出した直後1時間以内だという。

これは面白いな。一般に、思い出す作業と言うのは記憶を強化する方向に考えがちだ。でもこの新理論では思い出すと言うのは長期記憶から短期記憶へ思い出を移すことになる:つまり強固な保存箱から出してしまった記憶は浮ついているので消しやすい、と言ったところか。理論の証明と応用を期待する。

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       http://psychnote.ameblo.jp/entry-197d20a9fdc74bb22912a48d004d7115.html

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柔道男子10歳は攻撃的。でもその後は

柔道を8歳から10歳まで習った男子は他の子供よりも攻撃的だったと言う。でも僕は長い目で見れば、柔道は攻撃性を抑制するのを学ぶ良い運動だと思う。

この論文によると、
---運動部(格闘技に限らず)の練習は攻撃性において悪影響がある(つまり攻撃性を抑制すると言う大人への過程が遅れると言うことか?)と過去に多数報告されている。しかし格闘技は例外で、セルフ・コントロール(自己抑制)を学ぶ場と言うのが通説だ。

しかしその通説に反してこの研究では、8歳から10歳まで柔道を習うと攻撃性抑制が他の子供ほど見られなかった、と言う結果になった。空手は他の子と変わらなかった。

怒り指数を比べたところ、格闘技をやってない一般男子は8歳から10歳までに順調に攻撃性抑制の学習が見られた(19.9→19.5→16.4)。
それに比べて柔道は練習1年後で急上昇(怒る場面が多くなる)して、練習2年後で下降している(21.6→24.1→20.9)。8歳時と10歳時を比べるとあまり攻撃性の抑制が見られない。
空手(ショウトウカン)は中間と言った所かな(20.1→21.6→16.6)。練習1年後に上昇しているものの、2年間の変化で見ると8歳時から10歳時にかけて攻撃性抑制の学習が見られる。-----

なので、柔道を小さい頃にやると攻撃性抑制の学習が減る、という研究者の見解はもっともだ。結果に忠実だ。
でも僕はそうとは見ない。9歳の時に空手と柔道で怒り指数が上昇するのは、この児童たちが混同しているからだろう。道場では攻撃が良しとされるのに、一般世界では攻撃をしてはいけない。これは子供に一線を引かせるのは難しいよな。でも練習一年後では混同していても、練習2年後ではすごい勢いで攻撃抑制を学習し始める。

それはたぶん痛みを知っているからだろう。空手で練習1年後の攻撃性の上昇が顕著でない(柔道ほど)のは流派がショウトウカンだからだろう。確か松濤館は型ばかりで実際には殴りあわないよな。だから格闘技をやってない男子と似た結果になったのだろう。それに比べて柔道は痛い。練習1年後では攻撃性が上昇しても、練習2年後では攻撃性が急下降している。練習2年後ではまだ他の群ほど攻撃性が低くなっていないけど、きっとこの調査をもう何年か続けたら柔道の攻撃性が最も低くなるのではないだろうか。

これは統計の数値からも推察できる。柔道群のSD(standard deviation日本語は知らないよ)は常に低い。だから柔道をしている男子の多くは似た傾向の学習過程を進んでいると思われる。他の2群のSDは高い。

ところでこの研究は難しいよ。空手や柔道をやるアメリカ人の多くにはアジア人の血が入っている。格闘技をやらない男子は一般のアメリカ人、つまり白人が多かっただろう。だから混同要素が多い。グループ間の遺伝要素も違う、生活も違う、育て方も違う。実際に8歳児のデータが3群の間でかなり違う。もっと他の研究も読んでみたいな。

元の論文
Reynes, E. & Lorant, J. (2004) Competitive martial arts and aggressiveness: A 2-yr longitudinal study among young boys. Perceptual and Motor Skills, 98, 103-115.

ウェイト選手は嫌いな友達も避けずに正面勝負。

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