しんりの手 :psych NOTe -6ページ目

広告に生かされている見覚え意思決定

意思決定の研究の専門家でギーガレンザーという人がいるんだけれど、この人の面白い研究。


見覚え意思決定(recognition heuristic)という方法で生物は判断をしている場面がよくある。見覚え意思決定とは、見覚えのあるものが選択肢にあるとそれを選んでしまう習性のこと。これは結構当るので使える。例えばその一例。


「少ない知識の方が判断が正確」効果(less is more effect)

アメリカ人の生徒にアメリカの2都市でどちらの方が大きい都市かを答えてもらった。例えばサン・ディエゴとサン・アントニオ。同じ生徒達にドイツの2都市の比較もしてもらった。当然アメリカ人はアメリカの都市のことの方が知っているはずだった。驚いたことにドイツの都市の大きさの比較の方が正確に行えた。つまり、知識が少ないほうが判断が正確な場合があるのだ。逆にドイツの生徒にとってはアメリカの都市についての質問の方が答えが正確だった。


上記は見覚え意思決定の一例。アメリカを良く知らないドイツ人にとって、サン・ディエゴは有名なので聞いたことがあるけれどサン・アントニオは聞いたことの無い地名だ。なので知名度がある方が大きい都市だろう、という推理が成り立つ。そしてそれが正解でもある。これは知識がありすぎる(アメリカ人にとってのアメリカの都市名)と使えない。


この見覚え意思決定は動物界でも使われている。ラット(wild Norway rats)が二つの食べ物から一つの食べ物を選ぶ場合、見覚えのある方を選ぶ。直接この食べ物を食べた経験が無くても、「見覚え」を仲間のラットの息のにおいから形成する。例え仲間のラットが病気になっていたとしても、この見覚え意思決定に従う。つまり論理的に考えれば、その食べ物は仲間のラットを病気にしたかもしれないのに、見覚え(におい覚え)があるということが意思決定にそれだけ大きな影響を与える。


当然この習性は広告業界でも使われている。人間は見覚えのあるものを選んでしまうので、商品名や会社名だけを客の記憶に残しておけば売り上げは格段に上がる。その見覚えが仮に悪い噂であったとしても、見覚え効果は商品の売り上げ増に貢献してしまう。


この辺の実験データはそのうちに紹介。上記はこの本から。

Lars Backman, Claes Von Hofsten (英語版のみ。200年)
Psychology at the Turn of the Millennium : Cognitive, Biological and Health Perspectives

この本では、心理学が今後どんなことを研究していくか、どんな公算があるか、などをそれぞれの分野の著名な研究者が語る。

加齢と記憶の章ではおなじみのクレイク(Fergus.I.M. Craik)。学習の章ではレスコーラ(Robert A. Rescorla)。高度認知の章ではギーガレンザー(Gerd Gigerenzer)、航空心理学ではウィケンズ(Christopher D. Wickens)など著名な学者が執筆している。

同編集者の別の本。

「加齢と記憶」ラーズ・バックマン(2001年) (しんりの手)


「使いやすいホームページ;50企業」ジェイコブ・ニールセン(2002年)

ウェブ・デザインのお勧めの本。
Jakob Nielsen, Marie Tahir (こちらは英語版。2002年)
Homepage Usability: 50 Websites Deconstructed
(日本語版)
ヤコブ ニールセン, Jakob Nielsen, Malie Tahir, 風工舎
ホームページ・ユーザビリティ ~顧客をつかむ勝ち組サイト32の決定的法則

この本はウェブ・デザインの世界ではかなり有名。


ウェブ・デザインは心理学でもとても大きな分野になってきている。それも当然で、ウェブを訪れた人が何を最初に見て何を理解するかというのは思いっきり認知心理学ヤ知覚心理学の分野だ。それに何を感じるか、などは社会心理学や性格心理学も大きく関わってくる。そんな学術的な話は全くこの本には出てこないけれど、でもこの本は実際にウェブをどうすれば見やすくできるかということに集中して書かれているのでとても使い勝手がよい。


まず本の冒頭には100ほどのガイドラインが載っている。この大原則に従ってウェブを改良すれば確実にウェブは見やすくなる。

例えば原則その1.会社のロゴや名前をはっきりと示せ。

あっ、ちなみにこの本は会社のホームページを見やすくするのが目的なんで、個人向けやブログでは違う場面があるかも。


この本の次の章は推薦事項。例えばダウンロードの時間はとても重要な要素なので一般回線で10秒以内、50キロバイト以内が良い。などが書かれている。繰り返すけどこれは(大)企業のホームページ向け。大抵のブログは存在を認知されていないので、検索エンジンに引っ掛かりやすいように一ページが重くなってでも関連する単語を詰め込む方が僕は良いと思っている。ま、単語は重さにはほとんど影響を与えないかもしれないけれど。


この本のメインの内容は大企業の実際のホームページなどの分析だ。例えばアマゾン(amazon.com)。

amazoncom

この本によると、アマゾンのホームページの評価はとても高い。それでも細かい点でいくつも改良できる点はある、というかあった。この本で指摘されている点(2002年時)を今見てみると、ほとんどが改良されている(2005年)。例えば上図の①の「ユアー・アカウント」はここだけ違う字体になっていた。それは意味が無いよ、という指摘だったんだけれど直っている。②の「カート」は昔は「カート見る(view cart)」で、言葉の改良が必要だと指摘されていた。それも、まぁ、改善されている。③の「ヘルプ」が右上にあるのはとても良い、と評価されている。まぁ、そんなことがこの本ではこのホームページについて27箇所の指摘を挙げていて、計50ほどの企業のホームページの分析が行われている。


企業のホームページをデザインする人にはかなりお勧めの本です。


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検索キーワード:jakob Nielsen,ヤコブ・ニールセン、ジェーコブ・ニールセン、ジェイコブ・ニールセン

魅力のあるスポーツ選手は?

HeatherMitts

今週号のSI(スポーツ・イラストレイティッド)・オン・キャンパスに運動選手に関するアンケート結果が載っていた。535人の大学生(男53%、女47%)の答えを元に25の質問が並んでいる。その中でも面白かったのがこの問題。


Q9.どの運動部の選手が一番魅力的ですか?

1位. サッカー (20%)

2位. バレーボール (16%)

3位. バスケ (13%)

4位. フットボール (11%)


サッカーをしてる人が魅力的に見えるのはヘザー・ミッツ(Heather Mitts: 上の写真)の影響だな。彼女はプロのサッカー選手。顔もかわいいけど、運動選手らしいさっぱりしたインタビューの受け答えが僕も好きだ。ちなみに彼女は「最もホットな運動選手2004年」に選ばれている。


最もホットな運動選手2004年: ヘザー・ミッツ

最もホットな運動選手2003年: ジェニー・フィンチ  (関連記事:しんりの手

最もホットな運動選手2002年: アンナ・クルニコワ


JFinch ジェニー・フィンチ

volley01


僕個人としては2位のバレーボール女が大好きだ。バレー女は上半身も下半身も筋肉が付いていてカッコいいよな。いつもジャンプしているあの太腿とふくらはぎ。細すぎない体。パワフルに躍動する体。


なんか体のことしか見てないみたいで変態じみてきてるけど、運動部の性格が好きだ。と自分にフォロー。基本的に運動部の女の子って自立心があるし、体力的にきついことも僕と一緒に楽しめるし、一緒によく食べてくれるし、一緒にいて楽しいよな。そんな訳で僕は運動する人を応援します。特にバレーボールはアメリカでももっとメジャーになって欲しいよ。あと日本人にはもっと運動をしてもらいたいね。男女とも。


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元の記事:スポーツ・イラストレイティッド

無料の読者登録でアンケートも多分読めると思う。


関連する過去の記事:

肥満女性はろくな結婚相手に恵まれない(しんりの手)

「心理学の論文の書き方」T.R.スミス(2004年)

本の紹介。
T. Raymond Smyth
The Principles Of Writing In Psychology (Palgrave Study Guides)

英語で論文を書くときには大抵、APAスタイルという原則にのっとって書かなければならない。今まではAPA発行のほとんど公式ガイド(下の写真)を使うのが一般的だったんだけどはっきり言って使いづらい。最近、僕がよく使っているのは上記の本。書かれている内容は2冊とも似たようなもんなんだけれど、上記の本の方が実用に即した説明がされている上に、留学生用に(?)英語のニュアンスの違いなどについても言及しているので、読み物としても面白い。


直接的に日本語の書き方の説明は無いが、日本語でニュースを書く人に読んでもらいたい。日本語では科学的なニュースでしばしば「~ということが判明した」とか書いてあるけれど、一つの実験からは事実は判明しないよ。「この研究結果は~ということ(または可能性)を指し示している」とかが妥当な表現だろう。


p.14. 英語の単語の違いについて。suggested, concluded, found, argued, proposed, postulated,

これらは確かに違う意味だな。


この本の主要な購買層はやはり論文を書く人かな。特に英語が母国語で無い人にもお勧め。

American Psychological Association
Publication Manual of the American Psychological Association

レミングは集団自殺ではなく人間が崖から落としていた

whitewilderness

Disney Studios
White Wilderness / Movie
レミングが崖から身を投じて集団自殺するというのはほとんど事実のように信じられているけれど、あれは嘘らしい。

ディズニーの映画「白い荒野」ではレミングが集団で崖から海に飛び降りているシーンがあるそうだが、あれは映画の製作人が仕込んだことらしい。


詳しくはここ(英語)Yet Another Warm Fuzzy Disney Tale or How Disney Has Brainwashed You


一般に信じられている説明は、人口過多になりレミングが種のために人口調節するというものだ。でもそんなの変だ。個体にとっては自らの遺伝子が大事なんで哺乳類が種のために自殺するというのは説明が付かない。蟻とかなら女王アリのために自らを犠牲にしても、血縁関係の遺伝子が残るので説明できるけれど。詳しい話は竹内久美子のこの本(だったかな?)や利己的遺伝子関係の本を参考に。彼女の本は読む分には面白い。どのくらい信じられるかは検討が必要だけどね。


竹内 久美子
パラサイト日本人論―ウイルスがつくった日本のこころ

今回のフィルムは嘘らしいけれど、それでも集団自殺をする動物の話は偶に聞くよな。ディズニーも何かにインスパイアーされてこの話を作ったのかな。実際にレミングが集団自殺するって話でも聞いて、それをフィルムに撮影する都合上でレミングを落としてたのかな。これは勘ぐり過ぎ?

リチャード・ドーキンス, 日高 敏隆, 岸 由二, 羽田 節子, 垂水 雄二
利己的な遺伝子

Matt Ridley 
The Origins of Virtue: Human Instincts and the Evolution of Cooperation  (英語版のみ)
リチャード・ドーキンスに関連した本で、マット・リドレーの「美徳の起源」。これはドーキンスの本よりもずっと読みやすく、面白い。

検索キーワード:進化心理学、動物行動学、selfish genes,

「人間と機械の情報交換ハンドブック」ジュリー・ジャコー(2003年)

インターフェース・デザインの本の紹介。
Julie A. Jacko, Andrew Sears (英語版のみ。2003年)
The Human-Computer Interaction Handbook: Fundamentals, Evolving Technologies and Emerging Applications (Human Factors and Ergonomics)

人と機械の情報交換をするデザイン、つまりインターフェースの本でとても有名な本。今年いくつかの学会に出たけれど、インターフェースやウェブの話になると頻出する本。あまりに有名なんで借りてみたけれど確かにこれはすごいね。分厚い本(1277ページ)で、この分野の最新動向を網羅。64の章を執筆しているのはそれぞれの分野の第一人者。例えば人間の情報処理の章ではあのロバート・プロクター博士(Robert W. Proctor)!老人のためのデザインの章ではサラ・サジャ(Sara J. Czaja)、ユーザビリティー・ライフ・サイクルの章ではデボラ・メイヒュー(Deborah J. Mayhew)などとそうそうたる顔ぶれが執筆者として名を連ねている。


ま、内容もそれなりに難しいんで、この分野の予備知識なしで読むにはきついかも。ウェブ・デザインの専門家などが論文を書く時に参考にするのに最適。

「心理学百科事典」スーザン・ゴール(1996年)

本の紹介。
Susan Gall, Bernard Beins, Alan J. Feldman
The Gale Encyclopedia of Psychology

アメリカの大学や院で心理学を勉強していると、教材は全て最先端の研究ばかりだ。最先端の研究だけ理解しておけば、自分の研究に困ることはまず無い。でもそれだと院を卒業できないんだよね。心理学の教授の中にはすごく古い心理学を学んできて、それを未だに教えている教授もいる。そういう人と心理学の話をしても話が全然分からない時が多々ある。使う単語も違うし、信じる科学も違う。それでもこういう教授のクラスの単位も取っていかなくちゃいけないからな。


そんな時に活用するのがこの本。古い心理学が詰まっている。この本を自分の研究に使うことは無いけど古い教授の話を理解するには重宝される。例としてこんな言葉が解説されている。

Drive reduction theory

Determinism


まぁ、こういう古い教授たちにとっては、古い心理学が彼らの学んだ全てであって、既に否定されている理論であったとしても、それを教える方が楽だろうな。

年を取っていても、常に新しい研究に目を光らせて、新しいことを教えてくれる教授もいるんだよね。一院生としてはそういう教授や研究者には憧れるよ。


高卒と大卒の人の能力の違い

college students


大学生や大卒は勉強する能力に長けている。それを知能指数とかで表す試みもある。例えば、アンダーグラッドの学部生は知能指数の平均が105から110くらいだというのをどこかで読んだな。引用元は忘れたけど。知能指数は否定はしないけれど、僕はあまり好きではないアイディアだ。知能指数で測れるものはかなり限定されているし、頭が良いイコール知能指数が高いみたいな誤解を生んでしまっている。頭の良さというのはいろんな種類があるので知能指数だけでは測れない。


僕は研究柄、民間人(学校関係者じゃない人)と会って話をしたり、僕の専門分野の知識を教えたり、ということが頻繁にあるのだけれど、そうやっていろんな人に会っているとなんとなく学歴の傾向が見えてくる。僕の感覚では、高卒と大卒の主な違いは学習したことの応用力だと思う。つまり習った事を他の事に当てはめる能力が、大卒の方が高いと思う。新しい知識を覚えた時に、それを自分の仕事にどのくらい生かせるか。


例えば、文章の分かりやすい書き方の例として、主語と動詞を近くする、ということを習ったとする。そうすると、多くの人はそれを生かして文章を読みやすく書けるようになる。しかし、見た目の形状が変わると、多くの高卒の人は応用することを完全に忘れてしまう印象を僕は受ける。ダイアグラムを描いてください、とかお願いすると、大卒の人の多くは、主語と動詞の関係を思い出して、ダイアグラムでも関係のあるものを近くに書くように変化を見せてくれる。だが高卒の人にそういう応用を期待するのは難しい。


そしてこの違いは、生まれ付きのものではなく、大学で学んだ経験から来る後世的な能力だと僕は個人的に考えている。大学に行った人は4年間も習ったことを応用する訓練をしてるのだから、応用できて当然だ。とりあえずアメリカの大学はそういう訓練をする場所だ。日本の大学は知らないけど。


もちろん、高卒と大卒の間にくっきりと線があるわけではない。ただ、僕の個人的な経験則から言って、高卒の集団と話す時には、僕が話したことを実生活でどう応用するのかも加えて話すようにしている。大卒の集団と話す時には、彼らにどう応用できるかを聞くことで、彼らも話に積極的に参加してくれるようになる。


視聴者の経験により話者は話の内容を変えるのが当然だと僕は思うんだけど、教師でも話を一方的に進める人は多いよね。大学生と院生の違いはまたの機会に書こうと思ってるよ。

「神経心理学の定義辞典」デビッド・ローリング(1999年)

本の紹介。
David W. Loring, Kimford J. Meador
Ins Dictionary of Neuropsychology

論文を書く時にちょっとした言葉の定義に悩むことがある。例えば「意識」(consciousness)などは自分では理解しているつもりでも、いざ言葉にしようとすると詰まってしまう。更に研究者によって見解も違うのでどの本から引用するか迷ってしまう。そんな時に重宝するのがこの本。本のタイトルは「辞典」となっているが、はっきり言って辞典のような親切な解説ではなく、既に知識のある人向けに言葉の定義を羅列してある本だ。なので利用方法によってはかなり使える。


例えば「意識」の項目を見る。「自身や環境に気付いている状態。意識とは刺激に反応できる状態のことで、気づいているという事実は、行動や言葉などに表れる。意識には幅があり、警戒状態、集中している状態、注意していない状態、などがある。これらは自己の覚醒レベルと外界の環境により異なる。脳損傷(celebral injury)の程度により、意識の喪失が測られる。」


なかなか保守的で簡潔な定義だと思う。この項目に限らず保守的な立場の定義が多く、使いやすい。


もう一つ、「記憶」の項目を見てみよう。一般的な記憶の説明のほかに23の個別の記憶の項目がある。

前向性記憶(anterograde memory)

自伝的記憶(autobiographical memory)

宣言的記憶(declarative memroy)

耳感覚記憶(echoic memory)

エピソード記憶(episodic memory)

顕在記憶(explicit memroy)

視感覚記憶(iconic memory)

即時記憶(immediate memory)

潜在記憶(implicit memory)

長期記憶(LTM, long term memory)

非宣言的記憶(nondeclarative memory)

一次記憶(primary memory)

手続き記憶(procedural memory)

展望的記憶(prospective memory)

近時記憶(recent memory)

遠隔記憶(remote memory)

逆行記憶(retrograde memory)

二次記憶(secondary memory)

意味記憶(semantic memory)

感覚記憶(sensory memory)

短期記憶(STM, short term memory)

情報源記憶(source memory)

空間記憶(topographical memory)

作動記憶(working memory)



項目はたくさんあるけれど、ほとんどは心理学では一般的な言葉だな。近時記憶(recent memory)と遠隔記憶(remote memory)という言葉は僕も知らなかったよ。ここには載っていないけれど筋肉記憶とか言語記憶などという頻度の少ない言葉もある。そういう使わない言葉を省き、より一般的な単語を選んでいるあたりもこの本には好感が持てる。

この辞書によると宣言的記憶は顕在記憶と同じとなっている。この辺も保守的な立場だな。人によっては宣言的記憶と顕在記憶は異なるという研究者もいる。


心理学系の論文を書く人にはかなりお勧めの本です。

素朴な科学の疑問2:重さと動力

bikerace


昨日は天気も良かったんで、デミーちゃんと記念公園に行って来た。お互い大学院生でデミーは教育学、僕は心理学。お互い、大学院からもらう些細な給料で細々とやっている身なので、移動手段はもちろん自転車だ。


2人で併走してみると、デミーの方が圧倒的に速かった。マジデスカ?いや、確かに彼女はアスリートで、毎日自転車こいでるし、水泳もやって心肺機能も優れているんで、まぁそこそこやるとは思っていたよ。それに彼女のは速いロード・バイクで僕のは荒れ地用のマウンテン・バイクだよ。でも筋肉量だったら圧倒的に僕の方が多いはず。体重は僕の方が1.5倍もあるのに!


冷静に分析してみると、下り坂は僕の方が速いんだよね。体重がある分、一度スピードを上げれば、あとは惰性でびゅーんといける。でも上り坂になると重いのはやばいんだよ。それとも体重に対しての筋肉比なのかな、それで女の子に負けていたら、それは別の意味でやばいな。


漫画「頭文字D」では軽い車が下りで強いって言ってたけど、重い僕が勝てるのは直線の下り坂のみ。これにもし曲がり道などが加わったらもう僕の勝てる場面はなくなるな。


そんな訳で、往路でかなり凹んだ僕としては、帰路につくのを日暮れまでもたつかせ、道がよく見えなくなった時点で、マウンテン・バイクの特性を生かしてぶち抜いてやりました。暗くて段差が見えない状態だとロード・バイクは飛ばせないからね。あぁ、(女相手にいかに姑息にだろうが)勝つって清々しい気持ち!

一応、最終の街頭の灯った明るい直線で抜かせてあげて、相手にも勝ちの気分を味合わせてあげたけどね。最後に度量の大きさを見せ付けたということで、この勝負、僕の大人勝ちということにさせてもらうよ。


そんな訳で、物理的に重いものと動力の関係に興味があるこの頃です。


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