中国語話者は英語話者と思考回路が違う | しんりの手 :psych NOTe

中国語話者は英語話者と思考回路が違う

chinese numbers


中国語を話す人と英語を話す人は思考回路が違うかもしれない、という研究が発表されたようですね。

足し算にも国境が存在していた

科学ニュースあらかると さん)


心理学の院生として見解を述べさせてもらうと、おそらく言語の違いは人間の脳の使い方に少しは影響を与えるのだろうと思います。だけど高次元の考え方(例えば歴史の勉強とか宗教とか)には影響しないと思います。


要はですねぇ、人間の言語の違いというのはコンピューター言語の違いみたいなもんだと思います。マックとウィンドウズでは元の言語が多分違うんだと思いますが、それでもできることはほとんど同じでしょう。場合によってはどっちかが速いのかもしれませんが、時間を掛ければどちらも同等の仕事ができるんだと思います。


同じことが人間の脳にも言えて、アジア人は数学に強いかもしれませんが、でもより高次の脳活動(考える活動)では違う言語を喋る人種間の差はほとんど無いんだと思います。


今回の研究では算数をする時に中国語話者は視覚野を使い、英語話者は言語野を使ったとのことなんですが、これにはひとつの仮説が立てられます。


人間は音声を2秒間分だけ短期的に記憶できます(詳しいことは「音韻ループ」で検索してみてください)。


中国語や日本語では数字が少ない音節で表され、速く発音できます。なので算数などをする時にも、一回に記憶できる量も多く、計算も速くできるのだと思います。音声から記憶された数字は視覚記憶に置き換えられ、計算を助けます。これが中国人の視覚野の活性化の理由とも考えられます。


英語は数字を発音するのが遅いです(中国語に比べれば。世界的には中間らしいですが)。なので2秒間の記憶に入れられる量も少なく、計算も滞りがちになります。更に計算中に、頻繁に数字を頭の中で繰り返さないと忘れてしまいます。これが英語話者の言語野の活性化の理由とも考えられます。


この研究は言語の違いにより脳の使用部分が違うということを示したところが、とても面白いです。ああ、やっぱりな、とは思いますが、こういう研究を積み重ねていって人間の能力や人種の適性なんかがより分かって世の中がより良くなっていくと良いなぁなんて思います。


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参考ウェブ:

今回のニュースは「科学ニュースあらかると 」さんで知りました。ここは「メーカ研究員の週報 」さんのブックマークで知りました。 科学関係のニュースを紹介するサイトは大好きです。


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