加齢で衰える感覚 | しんりの手 :psych NOTe

加齢で衰える感覚

acuity test

人間の体は加齢とともに特定の能力が著しく衰える。この研究者はそれを人間の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)に対して調べている。


視覚で衰えるものは遠距離視力(far acuity)、近距離視力(near acuity)、立体視(stereopsis)、輝度知覚(コントラスト感度, contrast sensitivity)、視覚探索(visual search)、有効視野(UFOV, useful field of view)、照り返し(glare)、その他に色の知覚など。詳しい数値付きでよく資料を揃えている文献だな。


ちょっと驚いたのは、近距離視力の加齢による低下。近距離視力ってのは30cmくらいの近距離の文字を読む検査。近距離視力だと30歳くらいでは平均で視力1.2くらいなのに、60歳くらいではすでに視力0.4くらいにまで下がってしまう。これだと新聞とか読むのもつらいだろうなぁ。ただし矯正視力(つまり眼鏡など付けた状態)では加齢しても視力1.0くらいになれる。


普段、僕らが学校で測ってもらうようなのは遠距離視力といって4メートルくらい離れたところから文字を読む検査。遠距離視力だと30歳くらいでは視力0.8くらいが平均で、80歳くらいになっても視力0.6くらいで殆ど衰えはない。これは車を運転中に何メートルも離れた標識を読むような場合だな。


まとめると、衰えが急激なものと緩やかなものがあるので、老人向けに何かをデザインする場合には的確なデータを使うと良いね。老人向けに印刷物をデザインするなら近距離視力のデータを使うべきで、衰えの緩やかな遠距離視力のデータを使ってもあまり妥当性がない。更に遠距離視力のデータのほうが入手しやすいけどね。


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元の文献:

Frank Schieber (1992) Aging and the senses. p.251-306. この文献はこの本から。

James E. Birren, R. Bruce Sloane, Gene D. Cohen
Handbook of Mental Health and Aging

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