訓練の効率をソフトボールに見てみる。
ソフトボールをしていて心理学のことが頭に浮かんだんでちょっと紹介。「訓練の伝達率」とか「訓練の効率」(transfer of training)という心理学の案がある。訓練がどのくらい実践に役立つかを計算できる式で表される。
ソフトボールが大得意で州大会で優勝したこともあるケイティーちゃんの場合、山なりに落ちてくるボールに対して水平に振るバットとの交差点を点で捉えようとしていた(上図)。これだと空振りする確率が高い上に、子供用のふわふわボールは伸びきった芝生の上で殆ど転がらないんでまったくヒットにならないんだよね。なのでケイティーちゃんは訓練を4年間くらいした割りに、その訓練の効率は低かったことになる。言い方を変えれば、ソフトボールの経験はふわふわボールにはあまり活かせない。
それに対して、僕はソフトボールの経験なんて中学の休み時間にした程度なんで、何も知らない。今回、友達がボールの進入角度に対して平行にバットを振るのを見まねて(上図)、打ち上げてただけなんだけど、守りが二人しかいないんで(走者は透明ランナー)、フライは大抵がヒットにつながるというおいしい人数。この場合、僕が受けた訓練は「観察による学習」(observational learning)がほんの1分間くらいで、成果が大きかったことになる。
つまり、いくら似通ったスポーツや職種であれ、訓練がどのくらい効率よく実践に活かせるかというのは場合によって異なるので、教育者は訓練効率が高い教え方を選ばなければならない。ちょっと強引な結論へのもって行き方だけど、そんなところよ。運動の指導者も教育の指導者も生徒が何を学べるかを主眼に置いた教育をすると効率が上がるでしょう。
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訓練の効率についてはこの本の第7章がうまくまとまっている。
- Christopher D. Wickens, Justin Hollands
- Engineering Psychology and Human Performance
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