【本の紹介】「心理学の統計」デニス・ハウウィット(2003年) | しんりの手 :psych NOTe

【本の紹介】「心理学の統計」デニス・ハウウィット(2003年)

Dennis Howitt, Duncan Cramer
An Introduction to Statistics in Psychology  (2003年)

僕のブログではしつこいくらいに統計の本を紹介しているけれど、それは心理学が統計をもっとも必要とする分野のひとつだからだ。心の変化という見出しにくい現象を数字で示すのには、たいてい難しい統計が必要だし、その統計技術も毎年新しいものが開発されているので、それを逐次勉強していく必要がある。1000ページもある統計の専門書を読むのもひとつの手だけれど、まずは分かりやすい教科書を探すのが統計を知る近道だと僕は思っている。


この本は分かりやすさの点ではかなり良くできている。章の長さが5ページ位のが多いので一つの案ごとにしっかりと理解していけるのがとてもよいと思う。章の区切り方が細かく、起こりうる確率(probability),標準誤差(standard error)などがそれぞれ一つの章になっているのが好きだ。あと以前の記事で書いた相関関数「r」と分散(variance)の関係もちゃんと表になっていて分かりやすい。僕が統計のクラスを教えるんだったら多分この本を生徒に買わせるだろう。ていうか、僕が統計を習うときにこの本を使いたかった。この本だったら売り飛ばさずに取って置こうと思うし。


易しい解説から始まっている本の割にはカバーする内容が上級まで伸びていて、因子分析、パス解析、メタ解析(factor analysis, path analysis, meta analysis)まで解説されている。メタ解析も解説している一般統計の本は珍しい。


初級統計の生徒にも使えるし、中級まで終わって、上級を習い始める人にも使えるおいしい本だ。


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