心理学の分野を階層化してみる:神経認知科学の重要性 | しんりの手 :psych NOTe

心理学の分野を階層化してみる:神経認知科学の重要性

(上層に進むほどより応用的な研究)


9.臨床心理 (clinical psychology)

  ↑

8.組織心理学 (Industrial / Organizatinal psychology)

  ↑

7.社会心理学 (social psychology)

  ↑

6.進化心理学 (evolutionary psychology)

  ↑

5.比較心理学 (comparative psychology)

  ↑

4.発達心理学 (developmental psychology)

  ↑

3.認知心理学 (cognitive psychology)

  ↑

2.生物心理学 (biological psychology)

  ↑

1.神経認知科学 (neuro-cognitive science)


(下層に行くほど基本的な研究)



心理学と一口に言っても細かい分野はたくさんある。その大雑把な枠組みを「応用的か⇔基本的か」という点からのみ語ってみたい。上の順番は僕が主観にのみ基づいて勝手に付けてみた。基本的には、ある階層(レベル)を研究するにはそれより下層のレベルがすべて絡み合ってくるので、上層に行くほど複雑になる。


一番下の1の神経認知科学は神経ニューロンなどの極小のものを研究する。

2の生物心理学は臓器単位から生物単位の単純な反応を研究したりする。

3の認知心理学で生物の個体の能力が研究対象になる。主に成人のヒト。

4の発達心理学では成人以外にも胎児や幼児などが主な研究対象になる。

5の比較心理学ではヒト以外のネズミなどに研究対象が広がる。

6の進化心理学では生物が集団となった時に社会としてどう行動するか。

7の社会心理学ではそれを複雑な人間社会の中で考える。

8の組織心理学では、社会心理学を踏まえた上で会社組織などでの行動。

9の臨床心理学ではそんな複雑な社会からあぶれそうな人たちの研究。


例えば9の臨床心理を研究するにはそれよりも下層の(8)組織心理学や(7)社会心理を知る必要がある。7の社会心理学を研究するにはそれよりも下層の(4)発達心理や(3)認知心理を知る必要がある。5と6はちょっと違う方向に行っている気もするけど、この図に組み入れるとしたらこの辺だろう。


ここからが本題。

最近の心理学で最も人気があるのが一番下層の(1)神経認知科学だ。最下層なだけに最も影響力も強い。言わば自然科学(つまり物理、天文学、地学、化学)などの中での原子や数式みたいな最も基本的な存在。こういった下層(基本レベル)の発見が上層(応用レベル)の今までの概念全てを覆してしまうかもしれない。

逆に言うと、下層から批判されるとそれを下層の知識なしには弁護できない。これは上層から批判された場合にはほぼ起こらない、ほとんど一方通行のルールだ。例えば認知心理学では記憶などを研究するが、記憶の理論は下層である神経認知科学の理論と整合していなければならない。逆は起こらない。神経認知科学の発見は記憶という現象からのみでは反証できない。うーん、説明が足りてないな。これはそのうちに詳しく。


えーと、特に心理学というのは頭の中で起こることなので現象が見えにくい。なのでこの階層の違いというのは自然科学よりも大きいと思う。それほど影響力の強い分野が神経認知科学。人気があるのも頷ける。というか心理学を学ぶものには必須でしょう。そんな訳で、僕もこのブログを通じて神経認知科学を学んでいるよ。

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無断コピー禁止。この案は僕が作った案です。間違いや語弊も多々含まれている可能性もあるので、自分の管理できる範囲にしか置きたくないです。無断でこの案だけを広めないように。ちなみにこの案は「組織の階層理論」(levels of organization)が原案です。


この案を考えるきっかけになった本:

神経認知科学の視点から、今までの心理学を切りまくる。

William R. Uttal
The New Phrenology: The Limits of Localizing Cognitive Processes in the Brain (Life and Mind: Philosophical Issues in Biology and Psychology Series)

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