写真より線画のほうが理解しやすい | しんりの手 :psych NOTe

写真より線画のほうが理解しやすい

drawingandpicture


上の2つの図(写真と線画)は同じ物体を示している。2つを比べると、人間は線画のほうが早く理解できる。情報が簡略化されているので、脳の情報処理もすばやく行える。


簡略化された線画(simplified line drawing)は注目するべきことが強調されているので理解しやすい。上の例で言えば「手」またはその輪郭に注目すれば良いと感じられる。情報の理解がより楽なため、線画は様々な所に使われている。説明書の絵、操作パネルのアイコン、など。これらは情報をすばやく理解することが要求される場面だ。


これに対して、写真は詳細な情報を示せる。上の手の写真を見れば、影の付き方、立体感、筋肉の付き具合、骨の加減などが読み取れる。逆に言えば、写真はこういった細かい情報が脳の理解を邪魔をするために、単純に「手」というものを認知するのを遅らせている。


要は、用途に分けて写真と線画を使い分けるということだね。詳細にこだわらない情報やすばやい理解が必要なら線画が良い。詳細も必要な情報なら写真が良い。


以上はこの本から。情報を視覚的にどう示すべきかを心理学と視覚の観点からわかりやすく説明している。わかりやすく示すことがこの本の趣旨だしこの筆者の専門だから、この本がわかりやすいのも当然だな。どうしたら教科書がわかりやすく書けるのか、というのを参考にするのにも良い本だ。

Colin Ware (2000)
Information Visualization: Perception for Design (Morgan Kaufmann Interactive Technologies Series)

検索キーワード、心理学、認知心理学、image-based thoeries, structure-based theories, visual objects, object recognition, 物体認知、視覚認知、もとの研究は Ryan and Schwarz 1956.