ブライアン・ウィルソン(ザ・ビーチ・ボーイズ)の精神病 | しんりの手 :psych NOTe

ブライアン・ウィルソン(ザ・ビーチ・ボーイズ)の精神病

先月号の雑誌「サイエンティフィック・アメリカン・マインド」(心理学雑誌)が8ページに渡り、ザ・ビーチ・ボーイズのリーダーであったブライアン・ウィルソンの特集をしている。ブライアン・ウィルソンは音楽の天才で、あまりに天才過ぎて精神病になってしまい、麻薬漬けになり、そして最近、復活した。そんな奇跡の音楽家だ。

The Beach Boys
Sounds of Summer: The Very Best of the Beach Boys 有名な曲ではこのアルバム(ベスト盤)の中の①カリフォルニア・ガールズ、⑬イン・マイ・ルーム、30グッド・バイブレーション、など。大抵がトップ40ヒットなんで、どれも有名な曲ばかりだけれど。

この記事は科学雑誌らしく、ブライアン・ウィルソンの精神病を心理学の観点から考察している。これによると、

「(ブライアン・ウィルソンのように)とても創作的な人は重度の精神病に陥りやすい」

「多くの芸術家は20代にその芸術性を栄華する」

「ブライアン・ウィルソンは20代前半に精神病を発症した。これは典型的な精神病の発症年齢だ」

「精神病のためにブライアン・ウィルソンは脳の中央実行系(central executive)に支障をきたした」

「精神病が人を創作的にするわけではない、しかし、一部の天才は時として(精神病時の)支離滅裂なアイディアを芸術へと昇華させる」


「精神病の症状は常に一定ではない。波がある。精神病の症状が出ていないときにブライアン・ウィルソンの創造性は最大であっただろう。(精神病の症状が出ているときには中央実行系がうまく作動しないので、芸術をまとめるだけの能力が無い)」

「麻薬(drug)はブライアン・ウィルソン自身は精神病の症状の治療に役立つと考えていた。精神病の患者によく見られる行動だ」

「ブライアン・ウィルソンの病名は統合失調性感情障害(schizoaffective disorder )だった。これは精神病(psychosis)と異常な心的状態(abnormal mood)のコンボだ。」

ブライアン・ウィルソンの精神が壊れる直前に出した世紀の名作がペット・サウンズ。ビートルズのポール・マッカートニーが「歴史上で最高のアルバム」と評した大傑作。

Beach Boys Pet Sounds

そしてブライアン・ウィルソンが精神病を発症したためにお蔵入り(1967年時)になったアルバム「スマイル」。最近、回復したブライアン・ウィルソンが編集(2005年)して、ついに日の目を見た伝説のアルバム。

Brian Wilson SMiLE

こんな偉大な音楽家が20年間もまともな創作活動をしていなかったなんて人類の大きな損失だ。彼がまともな状態で音楽を作り続けていたら世界が変わっていたかもしれない。

どうやったら精神をまともな状態に保てたんだろう?父親の暴力が無かったら彼はまともに育って天才性も維持できたんだろうか。親戚(マイク・ラブたち)との不和が無ければ状態は変わったんだろうか。ツアーに出ずにスタジオで音楽を作り続ける環境があったら?夢は尽きないけれど、今ブライアン・ウィルソンが生きていて、音楽を作れているだけでも感謝しよう。

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元の記事:Scientific American Mind, volume 16, number 4, 2005.

Brian Wilson: A Cork on the Ocean


関連するウェブ:

ブライアン・ウィルソンが復活してスマイルを作る様子のビデオ


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