難しい統計の基礎知識
心理学の文献とかを読んでいると難しい統計の用語が頻出する。そんな時は、はっきり言って、もうその文献を読むのをやめたくなる。でもまぁ基本的な考え方だけ理解しておけば、そんな文献も読破できるんで、基本だけを下に書きました。
えーと、つまり、「分散」(variance, variance accounted )などと出てきたら、それはrの二乗と同じくらいの意味だと考えておけば理解できます。解釈の仕方は下の表を参照。例で言えば、分散が0.49(または0.49から0.81の間)だったらその研究の独立変数と従属変数の結びつきが「とても大」なんだな、という訳です。大きい方が良いです。
独立変数と従属変数の関係 | 効果 エフェクト・サイズ d |
相関関数 r | 相関関数効果量 r二乗 | 分散 |
極小 | 0 | 0 | 0 | 0 |
小 | 0.2 | 0.1 | 0.01 | 0.01 |
中 | 0.6 | 0.3 | 0.09 | 0.09 |
大 | 1.2 | 0.5 | 0.25 | 0.25 |
とても大 | 2 | 0.7 | 0.49 | 0.49 |
ほぼ完璧 | 4 | 0.9 | 0.81 | 0.81 |
完璧 | 無限 | 1 | 1 | 1 |
上記の表はここを参考に僕が書き足しました。A New View of Statistics by Will G Hopkins
実際の文献を例にとって見てみます。メーカ研究員の週報 さんのこの記事「左右対称なダンサーはより魅力的 」を見ると、「分散の48%を占めた」とあるので、この解釈方法としては左右の対称性(独立変数)とダンスのうまさ(従属変数)の結びつきは「大」で、ほとんど「とても大」に近い関係だと言えます。つまり体がきれいに左右対称の形をしている人ほどダンスがうまい、または因果関係が逆でダンスがうまい人ほど体の左右対称性が高い、ということができます。
最近の10年くらいは心理学の統計では効果量(エフェクト・サイズ)「d」や相関関数「r」を表すのが一般的となっています。これは「有意な差」を示す「p値」では効果量の大きさが分からないためです。p値がたとえ0.05いかであったとしても効果量dは「極小」かもしれないし「とても大」かもしれない。この辺はまたの機会にもう少し加工を思っています。
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「統計的な検出力の分析」ジェイコブ・コーエン(しんりの手
)
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