本の紹介:利き茶をする女 | しんりの手 :psych NOTe

本の紹介:利き茶をする女

今日は統計の本の紹介。「利き茶をする女」という本。

心理学では統計は最も大事な知識の一つだ。人の心という目に見えないものを測るだけに、それを如何に数値に置き換えて、そしてその数値を比べたり吟味することで僕等の研究を科学的に考察することができる。

この本は統計100年の歴史、みたいな本。短く読みやすい区切りで説明されている。主に語られている人は統計の大御所たちピアソン、F検定を作ったフィッシャー、マハラノビス、レビー、マンとウィットニー、ボックス、トゥーキー、などなど。一般人に誤解されやすい統計の話などの面白い話が短く書かれていてお薦め。

本の題名の「利き茶をする女」というのは挿入されている話の一つ。この女はミルクに紅茶を注ぐか、紅茶にミルクを注ぐかで味が変わると言う。物質的にはどっちの順番で注ぐにしろ同じ物質が混ざり合うのだから同じ味がするのでは?ではどんな確率で利き茶に成功すればそれは偶然の域を超えているのか。果たしてこの女性は10回中10回ともお茶利きに成功する。

僕の同僚(心理学の院生)でバーテンダーだったシェルビーはラム・アンド・コークでも同じことができると豪語している。本当?ラムにコーラを入れようがコーラにラムを入れようが味は同じじゃん?試す回数が上がるに連れ、酔いが回るので利き酒は更に難しくなりそう。


ところでアメリカに来た一年目にラム・アンド・コーク(rum and coke)を頼んだところ、すごく仲の良い悪戯好きのルームメートのマット君に発音を矯正された。「ローマ・ン・コック」と発音するべきだ、と。後日、知ったのだけどこれは「Roman cock 」、つまりローマ人のペニスという意味だった。ははは。面白いことをしてくれるじゃないか、マット君。でもお気に入りなんで今でも使わせてもらっているよ。ぶっきらぼうな英語で「ギミー・トゥー・ローマン・カックス」などというのが効果的。バーテンダーがゲイ風のゴツい男の時のご利用は控えめに。

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本の著者: David Salsburg
タイトル: The Lady Tasting Tea: How Statistics Revolutionized Science in the Twentieth Century